Gody's Diary

Friday, September 01, 2006

Amish社会の罰

アメリカABCチャンネルの番組に20/20(トゥエンティー/トゥエンティー)と言うのがある。これはよくあるドキュメンタリー番組で、あくまでも真実を追求する事を目的としているところがある。 日本にもこれに近いドキュメンタリー番組はいくつかあるだろう。 課題は色々あるが、ほとんどが事件、病気、それと政治に関するニュースを、インタビューや実験など踏まえて掘り下げて、一般市民に分かりやすく解説する番組だ。 私はチャンスさえあれば、こう言う番組をみるようにしている。 先日ジョンベネちゃん事件について日記を書いたばかりだと言うのに、 この番組では、またも若い女性が犠牲となった事件の特集を報道していた。 でも、今回は私たちにとって未知の世界で存在する社会内で起こった事件だったので、やっぱり興味が湧いた。 まったく素性の知れないお隣に住む人の生活が気になるように、この番組で取り上げられていた特定の人々の事も気になる...と言うのが人の習性と言うものかな。

今回はアーミッシュ(Amish)社会で起きたレイプ事件だった。 事が明るみになったのは、レイプの被害者であるメリー(Mary)ちゃん22歳によるリポートで明らかになった。彼女はアーミッシュ社会で生まれ育った。 そして彼女には男兄弟が8人いるが、そのうちの一人 ジョニー(Johnny)とその仲間から、6才になった頃から14才になるまでの8年間に渡り、レイプされつづけたと言うのだ。 彼女は本を読むのが好きだった。 なぜなら、本を読んでいる時は、本のストーリーを空想して、頭の中で作り上げた綺麗なストーリーの、汚れない世界に入り込む事ができるから。その時間だけは嫌な事を忘れる事ができたと言うのだ。

日本の人はアーミッシュって言っても、知らない人が多いと思う。 アーミッシュというのはスイス-ドイツ系移民で、(カナダにもいるけど)ほとんどがアメリカに住む、メノナイト派クリスチャンの教えを支持する民族で、主にペンシルバニア州のランカスターに多く住んでいる。その他アイオワ州、イリノイ州、ニューヨーク州、オハイオ州にも住んでいる。 ペンシルバニアの規模が一番大きく、ペン州の3分の2はこれらアーミッシュの領土となっている。彼らは近代的な生活を拒み、車にものらず、電気を使わず、何でも自分たちで手作りしてしまう、100年前まで人間がしていた暮らしを今でもしている人たちのことだ。 アーミッシュ社会では子供は小学校まで(13歳)しか学校で学ばない。 小学校を出たら大人たちの手伝いをはじめる。 服装も大体決まっていて、男性は黒いズボンにしろや青いシャツ、黒か麦地の帽子、既婚者はあごひげを生やす。 女性は子供のうちは薄い色のドレスにエプロン、 大人になると黒や濃い色のドレスが多い、そして昔のナースのような帽子をかぶっている。

なんてたって、一般社会から孤立して暮らしているので、その実態はなかなか知らされない。 ランカスターはアーミッシュ郡が立派な観光地ともなっているので、彼らの生活スタイルを見学はできる。でも、これはあくまで外から見たもの。 彼らの文化や風習、考え方までは一緒に住んで見ないと分からない事。そんな疎外された場所で、アーミッシュの女性は性について勉強はしない。そのうえ、言いたい事を我慢するのが当然とされている。 だから、お兄さんからレイプされていた事も何をされているのか分からず、"お兄ちゃんは私に意地悪をしているんだ"...と思っていたと言うのだ。お兄ちゃんの仲間も加えると、一人でいられる時間がなかったと言う。 どこに行くにも、何処かで誰かにレイプされた。 牛小屋にいるとそこでレイプされ、倉庫にいるとそこでもレイプされた。だんだん一人で外に出かけるのが怖くなったと言う。 レイプされている時は天井を見たり、回りにある物を見て、本を読むときに身に付けた空想にふけて、現実逃避していた。 

母親は再婚をしていた。 その再婚相手は母親や子供たちに暴力を振るっていた。何でもいい、手にとるものを使って殴りつけたりした。 そんな母親にメリーは打ち明けた事がある。すると母親は、「貴方の抵抗が足りないのよ」とか、「神への祈りが足りないのよ」とか、まるで共感されるよりも、自分が責められてた気がしたと言う。 アーミッシュ社会の裁判官は教会の長老たちなので、彼らに打ち明けた。 そこで兄のジョニーはレイプした事を認めた。 アーミッシュ社会では"打ち明ける事"は誉められるべきこととされるので、次に誉められるべき"許す心"に従って、お仕置きはやさしい物だった。 ビールを吐くまで飲む時のお仕置きと、レイプをした時のお仕置きは同じで、2ヶ月間教会の行事ごとに参加できないと言う、罰でも何でもないような物だった。 

メリーにとってみれば、彼女の失った明るい少女時代と同じだけの辛い罰を下されるかと思ったら、酔っ払いと同じ扱いの罰だけ下った兄を許せないでいた。 そこで、アーミッシュ社会の外の世界(私たち一般社会)の権力者にどこからか相談した。 そこでペンシルバニア警察が調査を開始して、ジョニーの自供で、第2級犯罪の刑期8年、執行猶予10年の罰が下された。 彼女の母親も娘を守る事が出来なかったとして2年間の保護観察処分を。 暴力を振るって、間違った教育をした父親は18ヶ月の保護観察処分を受けた。 今メリーは去年の三月から陸軍に入隊した。 将来は心に傷を負った子供たちを救いたいと言う思いから、看護婦になる事をめざしている。

私はアーミッシュの人たちは好きだ。 昔ながらの生活をしていて、食料もオーガニックの野菜を作って、地球にやさしい人たちだと思っている。 アーミッシュマーケットでは、彼らの手作りのキルト、野菜などが売られていて、中でもチーズがすごーく美味しい。 これぞ手作りのフレッシュなチーズって感じがたまらない。 だけど、彼らの社会に入り込んで邪魔する気はないけれど、女性が言いたいことを言えず、事の犠牲になり、我慢しなくてはならないのは、やっぱり可哀想だと思う。 本人が幸せなら周りが色々言う事もない。 でも、辛い目にあっているんだったら、アーミッシュ社会にももう少し厳しい法律を作るべきだと思う。 私はこのストーリーを読んで、一般社会のルールに無知なアーミッシュと、映画の the Village が重なってしまうのは私だけだろうか? 皆さんはどう思われますか?

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