立派な観光
先週ジョージアから私のおばあちゃん(74)が遊びに来ました。 私がサンディエゴに引っ越してきて、今までもてなしたゲストは皆友人だったけど、今回は家族のおばあちゃんが、初めて孫である私を訪ねてきた。 しかも、今回おばあちゃんは、新しいボーイフレンドまで一緒に連れてきました。 おばあちゃんのボーイフレンドは、今まで何人か紹介された事があったので、今更驚きはしないけど、今回のボーイフレンドは初めてお会いする上に、うちに泊まってもらうのも初めてだから、いったい何をすれば喜んでくれるのかちょっと戸惑った。 でも、旅行に来たのだから、やっぱり観光に連れ出すのが一番だろうと思って、いろいろ作戦を練って見た。
私はサンディエゴに越してきて、あんまり観光スポットを見て回った事がないので、何が楽しいのかが良く分らない。 色んな人に聞いて、ここは必ず行かなければサンディエゴ旅行は語れない、と言われる場所は頭に入れてはいた。 でも、やっぱりそんなにオプションがある訳ではない。 サンディエゴの有名な観光場所と言うとSea World (シーワールド)、SD Zoo (動物園)、バルボア博物館、メキシコのティワナ市が近いのでティワナ一日日帰り観光、とこんなもの。 夏だったらビーチに行きたい所だけど、どちらにしても老人がサーフィンやボディーボードをトライするはずがない。 シーワールドと動物園は園内が広くて、かなり歩かなければならないので、お年寄りにはちょっとむりがある。 私のおばあちゃんはひざの関節に痛みがあるので、長時間歩くなんてもってのほか。 だから、彼女たちには車で色々回る車窓観光と、車から降りてちょっと歩く程度の観光が一番だ。 おばあちゃんの方も多少調べたみたいで、サンディエゴのOld Town(オールドタウン)には必ず行きたいとの事だった。 希望があれば、なおさら助かる。
と言う事で私はおばあちゃんカップルを連れて、いざオールドタウンへ出発した。 でも、この老人カップルの一日はかなりゆっくりとスタートする。 家を出るのが12時ぐらい。 ちょっとドライブをしてからランチタイム。 ランチもかなりゆっくりと取るので、レストランを出るのがいつも3時ぐらいになる。 それから本格的に観光へ。 でも目的地に着いて、2時間も経てばあっという間に日が沈んでしまうのである。 この間に観光をパッパッとしなければ、ほとんどの観光地が6時前には閉まってしまう。 しかも暗くて先に見えるものが良く分らない。 このオールドタウン観光も、観光地の観光物件として見た物は1つ。 あとはお土産屋さんめぐりを少々。 そしてアッと言う間にディナータイムです。 だけど、せっかく見に行った観光物件、おばあちゃんカップルは時間をかけて見てましたよ。
今回見てきたその物件とは、サンディエゴで一番最初に出来たパブリックスクール(小学校)でした。 その小学校は1865年に建てられたもので、当時人口270人程度のオールドタウンにいた4歳から17歳の36人近くの子供たちが通っていたらしく、全員が年齢に関係なく、このワンルームスクールの、たった一つのお部屋(12畳ほど)で勉強をしていたそうだ。 この小さな学校がスタートした当時、ほとんどの学生がヒスパニックとそのハーフで、数人のイギリス人とネイティブアメリカン(インディアン)がいただけだった。 しかも、スパニッシュの女の子はタバコを吸っていたという。 時計を持たない家庭に暮らす子供たちは、遅刻が日常茶飯事で、出席もしたり、しなかったりとバラバラだったらしい。 そんな習慣を変えるのは大変だった事でしょうが、校則が存在してましたよ。 校則と言っても罰則のこと。 いつから決められた校則かは分りませんが、今のアメリカでは考えられないような校則でした。 とてもキュートな昔らしい罰なので、一部紹介しましょう。
罰はスティック(魔法使いが持っているような)かロープでお尻を叩くと言うもの。 男の子と女の子が一緒に遊んだら4回のムチ。 喧嘩をした子は5回のムチ。 カード遊びをしたものは10回のムチ。 ウソをついた子は7回のムチ。 男の子は女の子に不品行を行うと10回のムチ。 長い爪は2回のムチ。 男の子が女の子の/女の子が男の子の遊び場で遊ぶと、それぞれムチ3回。 顔と手を洗わずに学校に来た子はムチ2回。 洗濯時間に水を他人にかけた子は2回のムチ...など。
男女が一緒に遊んではいけなかった所など、古い時代を感じますねぇ。 今では考えられませんが、この校則を読んでおばあちゃんは、「アメリカのこんなにいい校則は何処へ行っちゃったの?」と、可愛い校則をかなり懐かしんでいました。 と同時に、先生にもルールがあって、既婚男性は先生として働いてもいいが、シングルの女性先生は、結婚をした時点で解雇されたと言う。 これを見ておばあちゃんは「ばかばかしい、なんで女性だけが解雇されなくてはならないのか?」とお怒りのようでした。 さすが元アメリカ大使秘書。 隠居の身でも、気分は今でも現役バリバリのキャリアウーマンなおばあちゃん。 確かに今これをやると、生徒の両親から訴訟が起こります。 親が自分の子供に罰としてムチをしても犯罪者扱いですからね。 それにしても一箇所だけでも立派な観光ができておばあちゃんは「ファンタスティックな観光だった」と喜んでくれました。 よかったね、おばあちゃん。
写真は観光してきたオールドタウンの小学校。 周りが薄暗かったので入り口付近のみの撮影になりました。
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